「ビーフシチューを作ったら、牛肉がかたくなってしまった」
「圧力鍋を持っていないけれど、普通の鍋でもやわらかく作れる?」
「どの部位を選べばいいのか分からない」
ビーフシチューは、牛肉と野菜をじっくり煮込んで作る定番料理です。
しかし、長く煮込めば必ず肉がやわらかくなるとは限りません。
使う牛肉の部位や大きさ、火加減、煮込み時間などによって仕上がりは変わります。
圧力鍋がなくても、煮込み料理に向いた牛肉を選び、強く沸騰させず、肉の状態を確認しながらじっくり煮るのが基本です。
この記事では、普通の鍋でビーフシチューを作るときの肉選びから下ごしらえ、煮込み方まで、家庭で取り入れやすい方法を紹介します。
圧力鍋がなくてもビーフシチューは作れる
ビーフシチューというと、
「圧力鍋がないと肉がやわらかくならないのでは?」
と思うかもしれません。
しかし、ビーフシチューは普通の鍋でも作れます。
大切なのは、圧力鍋の代わりになる「裏技」を探すことではなく、
煮込み向きの肉を選ぶ
↓
食べやすい大きさに切る
↓
表面に焼き色を付ける
↓
弱めの火でじっくり煮る
↓
肉の状態を確認する
という基本的な流れを丁寧に行うことです。
特に肉選びと火加減は、仕上がりを左右しやすいポイントです。
ビーフシチューの肉がかたくなるのはなぜ?
「2時間も煮込んだのに、肉がかたい」
ということもあります。
考えられる原因はいくつかあります。
煮込み料理に向いていない肉を使っている
牛肉は部位によって特徴が違います。
ステーキなど短時間で焼いて食べるのに向いた部位と、時間をかけて煮込む料理に向いた部位は同じではありません。
ビーフシチューでは、煮込み料理に適した牛肉を選ぶことが大切です。
スーパーで選ぶ場合は、**「シチュー用」「煮込み用」**などと表示された牛肉なら分かりやすいでしょう。
迷ったときは売り場で確認する方法もあります。
強火でグツグツ煮続けている
早くやわらかくしたいからといって、強火で激しく沸騰させ続ける必要はありません。
煮立ったあとは火を弱め、鍋の中が静かに煮えている程度を目安にします。
水分が減りすぎていないかも、ときどき確認しましょう。
肉を小さく切りすぎている
大きな肉は食べにくいからと、最初から細かく切りすぎるのも考えものです。
長時間煮込む料理では、ある程度大きめに切った方がビーフシチューらしい食べ応えを残しやすくなります。
ただし、大きすぎると加熱に時間がかかります。
購入した肉や使用するレシピに合わせて、食べやすい大きさにそろえましょう。
ビーフシチューに使いやすい牛肉は?
肉選びで迷ったら、煮込み用として販売されている牛肉を選ぶのが簡単です。
部位から選ぶなら、すね肉、バラ肉、肩周辺の肉などが使われることがあります。
すね肉
牛の脚部分の肉で、筋が多いのが特徴です。
短時間の調理よりも、時間をかける煮込み料理に使われることが多い部位です。
ビーフシチューのほか、カレーやスープなどにも利用できます。
バラ肉
脂身が比較的多い部位です。
煮込み料理にも使えますが、商品によって脂の量が違います。
脂っぽさが気になる場合は、肉を選ぶときに赤身と脂身のバランスを確認するとよいでしょう。
肩周辺の肉
スーパーでは「肩」「肩ロース」「シチュー用」など、さまざまな表示で販売されています。
同じ名称でも切り方や肉質に違いがあるため、煮込み用として販売されているものを選ぶと使いやすいでしょう。
肉は大きさをそろえておく
牛肉を切るときは、大きさをある程度そろえます。
極端に大きさが違うと、小さい肉は先に煮え、大きな肉にはさらに時間が必要になることがあります。
市販のシチュー用牛肉なら、すでに角切りになっている商品もあります。
その場合は無理に細かく切り直さなくても構いません。
大きな筋などが気になる場合は、肉の状態を確認して下ごしらえします。
肉の表面を焼いてから煮込む
ビーフシチューを作るときは、煮込む前に牛肉の表面を焼く方法があります。
ここでの目的は「肉汁を完全に閉じ込める」ことではなく、焼き色を付けて香ばしい風味を加えることです。
焼き方
- 牛肉の表面に余分な水分があれば軽く取ります。
- 鍋やフライパンに油を入れます。
- 牛肉を入れます。
- すぐに何度も動かさず、表面に焼き色を付けます。
- 向きを変えながら数面を焼きます。
この段階で中心まで完全に火を通す必要はありません。
あとで煮込むので、表面に焼き色を付けたら次の工程へ進みます。
玉ねぎなどの野菜も一緒に活用
肉を焼いたあとの鍋やフライパンでは、そのまま玉ねぎなどの野菜を炒めると調理器具を増やさずに済みます。
ビーフシチューなら、
- 玉ねぎ
- にんじん
- じゃがいも
- きのこ
などが使いやすいでしょう。
すべてをそろえる必要はありません。
冷蔵庫に、
「玉ねぎが半分残っている」
「にんじんが1本ある」
「しめじが半パック残っている」
という場合は、使えるものを組み合わせるのもおすすめです。
ただし、じゃがいものように煮崩れしやすい食材は、長時間煮込む場合には加えるタイミングを遅らせる方法もあります。
普通の鍋で肉をやわらかく煮込むポイント
ここからが、圧力鍋を使わないビーフシチュー作りの大切な工程です。
煮立ったら火を弱める
肉と水分を鍋へ入れたら加熱します。
煮立ってきたら、強火のままグツグツ煮続けず、弱めの火に調整します。
目安は、鍋の中が静かに煮えている状態です。
使用する鍋やコンロによって適した火加減は違うので、実際の状態を見ながら調整してください。
アクが気になる場合は取り除く
煮込み始めると表面にアクが出てくることがあります。
気になる場合は、お玉などで取り除きます。
すべてを完全に取り除こうとする必要はありません。
料理の状態を確認しながら、目立つものを取る程度でもよいでしょう。
水分が減りすぎていないか確認する
長く煮込んでいると、水分が少なくなってきます。
特にふたを開けて煮込んでいる場合は蒸発しやすくなります。
途中で鍋を確認し、必要ならレシピに合わせて水分を調整しましょう。
「○分だから完成」ではなく肉の状態を見る
牛肉がやわらかくなるまでに必要な時間は、部位、大きさ、肉質、鍋などによって変わります。
そのため、
「必ず90分でやわらかくなる」
などと決めつけない方が作りやすくなります。
レシピの時間を目安にしながら、竹串やフォークなどで肉の状態を確認します。
まだかたい場合は、水分量を確認しながらもう少し煮込みます。
市販のビーフシチュールウを使う場合は表示を確認
家庭で手軽に作りたい場合は、市販のビーフシチュールウやソースを利用するのも便利です。
市販品を使うメリットは、味付けを一から考えなくても作りやすいこと。
特に初めて作る場合は、商品のパッケージに記載された材料・水分量・作り方を基本にすると失敗を減らしやすくなります。
ルウを入れるタイミングも商品によって異なるため、表示を確認しましょう。
「もっとコクを出したい」と最初からさまざまな調味料を追加するより、まずは基本の作り方で完成させて味を確認するのがおすすめです。
基本のビーフシチューの作り方
ここでは、市販のルウやソースを使う場合にも応用しやすい基本的な流れを紹介します。
具体的な分量については、使用する商品の表示を優先してください。
材料
- 煮込み用牛肉
- 玉ねぎ
- にんじん
- じゃがいも
- きのこなど好みの野菜
- 油
- 水またはレシピで指定された煮込み用の液体
- ビーフシチュールウやソースなど
野菜は家にあるものに合わせて調整できます。
1.材料を切る
牛肉と野菜を食べやすい大きさにします。
肉は小さく切りすぎず、大きさをそろえることを意識します。
2.牛肉を焼く
鍋またはフライパンに油を入れ、牛肉の表面へ焼き色を付けます。
一度に肉をたくさん入れると鍋の温度が下がりやすいため、量が多い場合は数回に分けて焼いてもよいでしょう。
3.野菜を炒める
玉ねぎやにんじんなどを加え、軽く炒めます。
煮崩れしやすい野菜は、料理に合わせて後から加えても構いません。
4.水分を加えて煮込む
レシピや商品の表示に従って水分を加えます。
煮立ったら火を弱め、肉の状態を確認しながら煮込みます。
途中で水分が少なくなりすぎていないか確認してください。
5.ルウやソースを加える
肉が食べやすい状態になったら、使用する商品の説明に従ってルウやソースを加えます。
焦げ付きやすくなることがあるため、火加減に注意しながら仕上げます。
6.味と濃度を確認する
最後に味見をします。
濃度が足りないからと強火で一気に煮詰めるのではなく、焦げないよう様子を見ながら調整しましょう。
肉がまだかたいときはどうする?
予定していた時間まで煮込んだのに、
「まだ肉がかたい」
ということもあります。
その場合は、すぐに「失敗した」と判断する必要はありません。
まず水分量を確認する
煮汁が少なくなっている状態で、そのまま加熱を続けると焦げ付きやすくなります。
鍋の状態を確認しましょう。
弱めの火でもう少し煮込む
煮込み用の肉は、時間をかけることで食感が変化していく場合があります。
強火にして急いで仕上げるのではなく、弱めの火で様子を見ます。
肉の部位も確認する
同じ時間煮込んでも、使った牛肉によって仕上がりは違います。
次回作るときは「シチュー用」「煮込み用」と表示された牛肉を選ぶなど、肉選びから見直してみましょう。
逆に肉がパサついたときは?
肉がやわらかいというより、
「繊維っぽくてパサパサする」
と感じることもあります。
この場合は、さらに長時間煮れば必ず改善するとは限りません。
肉の部位や煮込み方が料理に合っていなかった可能性もあります。
完成後に大量のバターや生クリームを追加して無理に食感を変えようとするより、ソースと一緒に食べやすい大きさにして盛り付けるなど、料理全体として楽しむ方法を考えましょう。
次回は、
煮込み向きの肉を選ぶ
強く沸騰させ続けない
必要以上に小さく切らない
といった点を見直すとよいでしょう。
味が薄いときは「隠し味」の前に基本を確認
ビーフシチューを作ると、
「なんとなく味がぼんやりする」
と感じることがあります。
そんなときに、コーヒーやチョコレートなどの「隠し味」を探したくなるかもしれません。
しかし、まず確認したいのは、
- 水分を入れすぎていないか
- ルウやソースを表示通り使っているか
- 野菜から水分が多く出ていないか
- 十分になじむまで加熱しているか
といった基本的な部分です。
市販のルウを使っている場合は、自己流で調味料をたくさん加える前に、商品の作り方と実際に使用した水分量を確認してみましょう。
そのうえで味見をして、必要な場合だけ少しずつ調整します。
赤ワインは必須ではない
ビーフシチューのレシピでは赤ワインを使用するものもあります。
しかし、家庭でビーフシチューを作るために必ず必要な材料ではありません。
普段使わない材料をビーフシチューのためだけに買って余らせるのであれば、最初から赤ワインを使わないレシピを選ぶ方法もあります。
市販のルウやデミグラスソースなどを使えば、身近な材料だけで作れる商品もあります。
**「本格的にするために材料を増やす」のではなく、「家にある材料で作りやすい方法を選ぶ」**のも家庭料理では大切です。
ビーフシチューで余った野菜も使い切ろう
ビーフシチューは、冷蔵庫に中途半端に残った野菜を使いやすい料理でもあります。
たとえば、
玉ねぎ
半分だけ残っている場合でも使いやすい野菜です。
にんじん
1/2本など中途半端に残っている場合は、食べやすく切って加えます。
きのこ
しめじやマッシュルームなどが残っていれば、シチューの具材にできます。
じゃがいも
家庭にある場合は定番の具材として使えます。
ただし、煮込む時間によっては崩れやすくなるため、加えるタイミングを調整しましょう。
ビーフシチューのために野菜をすべて新しくそろえるのではなく、冷蔵庫にある野菜を確認してから買い物をすると食材を使い切りやすくなります。
ビーフシチューを作るときに覚えたい5つのポイント
圧力鍋なしで作る場合も、特別な方法をたくさん覚える必要はありません。
ポイントは5つです。
1.煮込み向きの牛肉を選ぶ
迷ったら「シチュー用」「煮込み用」と表示された商品を選びます。
2.肉の大きさをそろえる
極端に小さく切らず、ある程度大きさをそろえます。
3.煮込む前に表面を焼く
肉へ焼き色を付けて、香ばしい風味を加えます。
4.煮立ったら火を弱める
強火でグツグツ煮続けず、静かに煮える程度の火加減を目安にします。
5.時間だけでなく肉の状態を確認する
煮込み時間は目安です。
実際に肉の状態を確認しながら仕上げましょう。
この基本を押さえる方が、「肉をやわらかくする魔法の食材」をいくつも試すより取り入れやすくなります。
まとめ|圧力鍋なしのビーフシチューは肉選びと火加減がポイント
圧力鍋がなくても、普通の鍋でビーフシチューを作ることはできます。
肉をやわらかく仕上げたいときに大切なのは、「魔法のテクニック」を探すことではありません。
まず、
煮込み料理に適した牛肉を選ぶこと。
そして、
肉の大きさをそろえる
→ 表面に焼き色を付ける
→ 煮立ったら火を弱める
→ 水分量を確認しながら煮込む
→ 時間だけでなく肉の状態を見る
という基本的な工程を意識してみましょう。
市販のビーフシチュールウやソースを使う場合は、商品の作り方を基本にすれば、味付けもシンプルになります。
赤ワインや特別な隠し味も必須ではありません。
また、玉ねぎやにんじん、きのこなどが中途半端に残っていれば、ビーフシチューの具材として活用できます。
特別な材料や「裏技」を増やすより、肉選び・火加減・煮込み方を丁寧に。
まずはこの3つを意識して、家庭で作りやすいビーフシチューを楽しんでみてください。

